古代ギリシアの哲学者カルネアデスは、ある問題を出しました。
船が沈没し、乗員は全員海へ投げ出されました。
一人の男が、命からがら一片の板切れにしがみつきます。
そこへもう一人の乗組員がやってきて、その小さな板切れにしがみつこうとしました。
二人で掴むと沈んでしまうため、男はそのしがみつこうとした男を突き飛ばし、結果、突き飛ばされた方は水死しました。
さて、この突き飛ばした男は有罪か無罪か?
ご存じのように答えは無罪。
日本では緊急避難と呼ばれます。
7日、時事通信によると、金融危機で経済危機に陥ったアイスランドが、外国人預金者の公的資金による保護に関し国民投票を実施しました。
対象は特にイギリスとオランダの預金者。
途中経過で既に反対票が約93%に達し、否決が確実となりました。
アイスランドは人口32万3千人。
イギリスの北西に位置し、面積も北海道と四国を合わせた程度の小さな国です。
元々、漁業などが中心の国ですが、金融経済への転換に成功し高成長。
EUより高く設定された金利が海外資金を呼び込み、アイスランドの銀行の総資産は一時期GDPの10倍程度にまで膨れ上がりました。
人口が少ないこともあり、2006年における国民一人当たりGDPでは世界5位にまで躍進しています。
暴落がやってきます。
サブプライムローン問題が表面化し、世界中の金融機関はリスクの高い新興国の高金利通貨から売却。
海外資本に依存していたアイスランドの金融システムは、債務不履行を起こし崩壊してゆきました。
一時の栄華と突然の凋落。
93%にまで偏った反対票は、国民の動揺と緊急避難心理をよく現わしています。
ただこの動きは国際的な信頼を損ない、今後の経済再建をより難しくします。
今回の国民投票は、一つ隠れた問題を投げかけました。
グローバル経済下では、自国のルールより他国のルールの影響の方が大きいという問題。
ここでいうルールとは、ルールは変えることが出来る、というルールです。
アイスランドは漁業規制を回避するため、EUへの加盟を拒否してきました。
大きな経済圏、共通のルールに属していないことも原因の一つです。
規制の状況などによってまた変わってきますが、今後も世界経済において新興国が重要な位置を占めることは変わりません。
ただその際は単一の新興国と、経済圏新興国を分けてみる必要があると言えそうです。
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